- アラビカ種【Coffeaarabica】
- 原産地はエチオピア。アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種を三大原種といいます。アラビカ種は、他の品種より味や香りが優れているのでもっとも広く栽培され、生産量は世界の総生産量の約三分の二を占めます。代表的な品種にティピカ、ブルボン、カツーラ、カツアイ、ムンドノーボなどがあります。
- アビシニア【Abyssinia】
- 現在のエチオピア。アフリカ大陸北東部に位置します。首都はアジスアベバ。コーヒーの主な産地は東部ハラール州と南西部のカファ州。「コーヒー」という言葉は州名の「カファ」に由来するといわれています。ハラール近郊で生産されるコーヒーは「モカ・ハラー」とか「モカ・ハラリ」とよばれ、その独特の香りと味は世界の市場で高く評価されています。
- アラビア【Arabia】
- アジア大陸西南端に位置し、インド洋に突出する世界最大の半島。コーヒー産地は、半島の南西部にあるイエメン共和国を南北に縦走する、標高1,000m以上の山岳地帯。コーヒーはエチオピアが発祥地ですが、本格的な栽培が始まったのはアラビアです。ここでできたコーヒーは、紅海に面する小さな港町「モカ」から世界各国に輸出され、港名にちなんでモカコーヒーと呼ばれました。「アラビカ」種の名は、著名なスウェーデンの植物学者カルルフォン・リンネ(1707~78)が、コーヒーの栽培が盛んなアラビアにちなんで付けた名前です。このようにアラビアはコーヒー史上重要な地位を占めています。
- カタドール
- 風力比重選別機。下から風を送ると軽い豆は吹き上がり、重い豆は吹き上がらないことを利用した選別機。未成熟の実からできた豆(種子)や虫に食われた豆は、軽いので高く吹き上がり、よく熟した実からできた豆は、重いので吹き上がりません。
- カップテスト
- 焙煎したコーヒー豆を抽出し、そのコーヒーの品質を味覚的に鑑定する検査。香り、コク、酸味、異味、異臭などの有無で判定します。
- ガブリエル・ド・クリュー【Gabriel de Clieu】
- コーヒー史上で必ず登場するフランス軍将校。駐屯地マルチニーク島から休暇でパリに一時帰国したとき、マルチニーク島でのコーヒーの栽培を目論んで、厳しい管理下にあったコーヒーの苗木を3本密かに入手しました(知人の女性を通じて宮廷医から入手したとの説と、植物園から盗んだとの説があります)。
フランス西部の河港ナントから、マルチニーク島に向けて出帄した船は、途中で荒天に遭遇したり、海賊に襲われたり、また、自分の船室に人目につかぬよう小さな温室を作ってコーヒーの木を潮風から守り、自分に割り当てられた飲み水を与えたり、など2ヶ月の苦難の船旅の末、ようやくマルチニーク島に到着し、苗木を無事持ち帰ることができました。この苗木こそ、中南米で広く栽培されるコーヒーの木の原点なのです。
- グリーンコーヒー【Green Coffee】
- 乾燥したパーチメントコーヒーを脱穀機にかけてパーチメントを取り除き、精製した種子(コーヒー豆)のこと。なお、脱穀は通常、品質維持のため輸出直前に行われます。日本の業界では、グリーンコーヒーは生豆(なままめ)とも呼ばれます。小売店でみられる茶色のコーヒー豆は、グリーンコーヒーを焙煎(炒ること)したものです。
- コーヒーチェリー【Coffee Cherry】
- コーヒーの実は、はじめは緑色ですが熟すと赤くなります。これがサクランボに似ていることから、チェリーとかコーヒーチェリーと呼ばれます。美味しいコーヒーは熟した実の種子だけからできます。未熟のチェリーや熟しすぎのチェリーの種子が混入していると、抽出したコーヒーの味や香りが損なわれます。ですからジャマイカでは高い品質を維持するため、ちょうど赤く熟したチェリーだけを手でていねいに摘み取ります。このような摘み取り方は生産量が少ないからできるのであって、大生産国ではとうていできません。
- コーヒーベルト【Coffee Belt】
- 赤道を挟んだ南北両回帰線(北緯25度、南緯25度)の間をコーヒーベルトと呼んでいます。この地帯は平均気温20℃で、年間を通じて温暖な気候、雨量は1,500~1,600mm、肥沃な土地などのコーヒーの栽培に適した条件を持っているため、コーヒー栽培が盛んに行われています。
- スクリーン
- スクリーンとは本来「目の粗いふるい」のことをいいます。生豆は目の大きさが異なった数種類の「ふるい」にかけられ、目を通る、通らないによって大きさ別に分類されます。目の大きさの単位は普通64分の1インチで、例えばスクリーン18の生豆といえば、64分の18インチの目からこぼれ落ちない大きさの生豆を意味します。ブルーマウンテンコーヒーも大きさ別に分類されます。その中でもスクリーン17/18の大粒の豆で、味、香り、コクの三拍子揃ったコーヒーが、コーヒーの王様といわれる「ブルーマウンテンNo.1」なのです。
- ティピカ種
- アラビカ種の原種に近い品種。他のアラビカ種に比べると、成長が遅く、病害や虫害に対する抵抗力が弱く、生産性が低いという欠点がありますが、しかし、味や香りが非常に優れています。ほとんどの生産国は生産性を重視した品種の栽培に転換しましたが、品質にこだわるジャマイカは今でもティピカ種を栽培しています。
- パーチメント【Perchment】
- パーチメントとは本来、コーヒーの種子を覆う2枚の皮のうち、外側の硬くて殻のような麦藁色の皮(内果皮)をいいます。パーチメントに覆われた状態のコーヒーも、パーチメントコーヒーあるいは略してパーチメントといいます。なお、パルパー(果肉除去機)で外果皮とパルプ質が取り除かれた直後の、濡れた状態のパーチメントコーヒーはウエットパーチメント、これを乾燥したものはドライパーチメントまたはパーチメントといいます。
- 浮遊選別工程
- 摘み取ったチェリーを水槽に投入して、熟した実と未熟の実を選別する工程。熟した重い実は底に沈み、パイプや樋を通って次の果肉除去の工程に送り込まれます。水面に浮かんだ未熟の実、虫に食われた実、摘み取りの際に実に混入する小枝や葉は、すくい取られて捨てられます。高品質のコーヒーを作るのに非常に大切な工程。
- マルチニーク島【Martniqiue】
- 南米大陸の北方の西インド諸島に属する島で、フランスの海外県。中南米(ブラジル、スリナム、フランス領ギアナを除く)のコーヒー栽培はこの島から伝播していったことから、コーヒー史上、非常に重要な地位を占めています。しかし、生産面では特筆すべきことはなく、現在の生産量はわずかで全量国内で消費されます。過去30年以上輸出されたことはありません。